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北欧のスマートシティの特徴

IMD(国際経営開発研究所)シンガポールは今年度のスマートシティインデックスを数週間前に発表しま
した。このランキングは健康、治安、モビリティ、文化活動、教育・就業機会、ガバナンスなどにおい
てテクノロジーの供給によって都市がどの程度スマートシティ化しているかを測定するもので、世界の
109都市が調査対象とされました。北欧諸国はどこも好成績で、ヘルシンキ2位、オスロ5位、コペンハー

ゲン6位、ストックホルムが16位(2019年の25位から上昇)にランクインしました。本号では、北欧のス
マートシティの取り組みとその発展を牽引する組織について詳しく見ていきます。
そもそもなぜ北欧諸国の首都はスマートシティインデックスで軒並み上位を占めているのでしょうか?
まず頭に浮かぶのは、その成功の背景に廃水・廃棄物管理、高効率のエネルギーソリューション、IoTや
デジタル化など、技術先進国であることが多いに関連してスマートシティの取り組みに適応しやすいと
いう事実に行き着くかもしれません。

しかし実のところは、大学、行政機関のNGO、民間企業といった産官学のイノベーションのトリプルヘリ
ックス(螺旋)モデルでの協働という、北欧が伝統とするコミュニティ志向のアプローチがおそらくよ
り重要な要素でしょう。典型的な例としては、北欧では広く普及しているリビングラボプロジェクトが
挙げられます。これは自治体がリアルライフの状況を提供し、そこで起業家が新ソリューションの開発
や、実証試験、実装を行うというもので、Energy Lab Nordhavn、DOLL、 Space10、 Hammarby
Sjöstad,、Futurebuilt、 Powerhouse Allianceなどがそれにあたります。このようなプロジェクトがスタート
アップ企業やイノベティブソリューションが成長していくための理想的な土壌を与えています。

また、北欧の各都市はスマートシティの取組みを改善するために協力を深め、互いのノウハウを交換し
、経験を共有しています。このような熱心な姿勢は、北欧20都市(関係連絡先はHPから入手可能)をカ
バーしたノルディックスマートシティネットワークで示されています。詳しくは、北欧の各都市が持続
可能な都市の未来に向けて実施している共通の試みについてノルディックイノベーションが作成したレ
ポートをご参照ください。

加えて、北欧各国には有力なスマートシティ専門のハブがあります。例えばSmart City Swedenは、この分
野に携わる743社のデータベースを所有しており、スウェーデンのスマートシティエコシステムを知るに
は最高のエントリーポイントと言えます。

コペンハーゲンでは、BLOXHUBが都市開発の主要ハブです。エコシステムを形成している中小大企業400
社、各組織、研究所、行政機関に関する全概要がホームページから確認できます。
フィンランドはHelsinki Business Hubが自らの最新ニュースレターでも触れているように、スマートシテ
ィ開発に特に重点を置き、ヘルシンキがシンガポールに続いて世界のスマートシティ2位に選ばれた根
拠をわかりやすく解説しています。残るノルウェーについても、主要スマートシティハブNordic Edgeが9
月下旬にスマートシティについて地域のウェビナーを開催するなど、その成長に注目が集まっています。

もっと大きな規模で見ると、北欧が目指すより高度なスマートシティ構想は斬新でより持続可能な都市
対応策(パラダイム)を見据えた世界的な動きを反映しています。トヨタ自動車は年初、富士山麓にグ
リーンフィールドの実証都市を建設する壮大な「Woven City(ウーブン・シティ)」構想を発表しました
。同社の従業員2000人が入居し、ロボティクス、スマートホーム、AIなどのテクノロジーのリビングラ
ボを実施します。都市設計はデンマークの建築家ビャルケ・インゲルス氏が担当し、また一つ新たな北
欧・日本のコラボレーションが実現しようとしています。

北欧のスマートシティへの取り組みに関心のある方は是非お問い合わせください。お求めの人々と皆様
をお繋ぎいたします。